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『人を動かす 文庫版』読了

人を動かす 文庫版

人を動かす 文庫版

『人を動かす 文庫版』を読み終わったので、簡単にまとめる。

概要

タイトル通り、人間関係を円滑にするための原則について書かれた本。「人を動かす三原則」、「人に好かれる六原則」、「人を説得する十二原則」、「人を変える九原則」の4パートがあり、原則1つにつき1トピックとして独立している。

読んだきっかけ

『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』の中で紹介されていたのが読み始めたきっかけ。

現実的な問題に取り組んでいると、技術的な問題よりも、人同士のコミュニケーションで解決しないといけない問題も多い。そういった面での生産性向上を図れないかなと思って一通り読んでみた。

感想

内容については、目次に書かれている通りなので、特に説明はいらないと思う。中身の大半は原則の具体例なので、極端な話、原則のタイトルだけ見て意図が理解できるなら読まなくてもいいぐらいだと思う。各原則はそれぞれ独立して書かれているので、目次を見て気になった原則だけ拾い読みしてみるとかでも問題ない。

仕事上での話は多いけどビジネス書というわけではなく、子育てでのコミュニケーションとか日常の話も多い。一言で表すと人生をハックするための本なので、誰が読んでも参考になる部分はあるんじゃないかと思う。

書かれている内容的には目新しいものはなく、それでいて間違いなく重要な原則が簡潔にまとめられている。自分個人としては、分かっているけどなかなか実践できていないことが書かれていて、心に刺さる部分があった。定期的に目次を見て自分のふるまいを振り返ってみるような使い方がいいのではないかと思う。

本の中に書かれている例は、正直やや前時代的なものが多い。というのも、この本の初版は1936年に発行されており、改訂されてはいるものの、それでもいつの時代だとはツッコまずにはいられないような内容となっている。とはいえ、翻訳は分かりやすいし、原則を理解するだけなら問題ないレベルではある。

この本の原則をさらに要約するなら、相手の承認欲求を満たす、ネガティブなコミュニケーションをしない、ということに集約されると思う。承認欲求というのが適切な書き方かはわからないけど、人間誰しも他人に重要だと思ってもらいたいという気持ちがある。一方で、批判されたり失敗を公にされたりするのは誰だって嫌なもの。できる限り相手を尊重して、どうしてもなにかしら指摘しないといけないときは細心の注意を払って行わなければならない。

そして、それぞれの原則のメタ的な注意事項として、表面的になってはいけないということも繰り返し書かれている。表面的な態度というのは逆に相手を不快にさせてしまうので、心の底からの気持ちとして原則のふるまいを行わなければならない。これは非常に難しいことだけど、心持ちも訓練次第で変えられるということなのだと思う。

人によっては、この手の話を小手先のテクニックとして敬遠するかもしれない。しかし、この本は思っていることと違うことを言えということを伝えたいのではなく、伝え方をうまくすれば双方とも気持ちよく過ごせるということを伝えたいのだと思う。もちろんこの本のすべてを鵜呑みにすればいいということではないけど、普段の自分のふるまいを振り返ってみる一つの指標にしてみるのがいいのではないだろうか。

まとめ

『人を動かす 文庫版』は自己啓発書の原点と言われるだけあって、読みやすくて内容も明快な良書だった。日頃の自分のコミュニケーションを振り返るために活用していきたい。

誰が読んでもそれなりの気付きはあるだろうし、特に人間関係で課題を感じている人には助けになる一冊だと思う。人間誰しも自分一人でがんばるよりも他人の力を借りた方がうまくいくことは間違いないので、自分と相手の双方が気持ちよく接することができるように実践していきたい。