今年もそろそろ終わりなので、2018 年に読んでよかった本をまとめておきます。
ちなみに去年も書いてます。
目次
- Accelerate: The Science of Lean Software and DevOps: Building and Scaling High Performing Technology Organizations
- 世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
- WILLPOWER 意志力の科学
- OKR
- 最高の体調
- NETFLIX の最強人事戦略
- ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうの
- Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計
- 〈効果的な利他主義〉宣言!――慈善活動への科学的アプローチ
- まとめ
Accelerate: The Science of Lean Software and DevOps: Building and Scaling High Performing Technology Organizations
- 作者: Nicole Forsgren PhD,Jez Humble,Gene Kim
- 出版社/メーカー: IT Revolution Press
- 発売日: 2018/03/27
- メディア: Kindle版
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去年紹介した「The DevOps ハンドブック」に関わった著者たちが書いてる本です。ソフトウェア企業のパフォーマンスの違いがどういった要因からくるのかについて、著者たちの長年の調査と分析の結果が書かれています。
ちなみに、日本語版も最近出版されました。
LeanとDevOpsの科学[Accelerate] テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する (impress top gear)
- 作者: Nicole Forsgren Ph.D.,Jez Humble,Gene Kim,武舎広幸,武舎るみ
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2018/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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リリース頻度や障害頻度といったものがメトリックとして登場し、速度と安定性は両立でき、それを実現するためにキーとなるプラクティスなどが本全体を通して語られます。内容自体は The DevOps ハンドブックにもある内容に近いものですが、この本ではその結論に至った調査方法や統計手法などが語られており、前著でこの数字はどこからくるものなのかよくわからなかった部分が明確になって理解が深まりました。
たぶん、The DevOps ハンドブックのほうが実際の企業の例とかが書かれていて理解しやすいですが、そちらを読んでより詳細を理解したいと思った人はこちらもおすすめだと思います。
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
- 作者: 津川友介
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2018/04/13
- メディア: 単行本
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たしか、rebuild.fm で higepon さんがおすすめしてるのを聞いて読み始めた気がします。
タイトルはめちゃくちゃうさんくさいですが、中身はメタ分析などで科学的にエビデンスがしっかりしている情報から現段階で健康によいと思われる食事を紹介しています。
健康によいものは、魚、野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類の 5 つ、逆に健康に悪いものは、赤い肉(牛肉や豚肉のことで、鶏肉は含まない)、白い炭水化物、バターなどの飽和脂肪酸、というようにかなり具体的な内容を冒頭で紹介してくれ、本全体を通してその背景について説明してくれます。
正直この本を完全に遵守しようとすると好きなものが全然食べられなくなってしまうので完全には従えないと思いますが、間違った情報で食事を選んでしまうのは防げますし、普段のちょっとした場面で少し健康な食事を選ぶきっかけにはなるので読んでおいて損はないかなと思います。
WILLPOWER 意志力の科学
- 作者: ロイ・バウマイスター,ジョン・ティアニー,渡会圭子
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2013/04/22
- メディア: 単行本
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自己コントロールのために必要な意志力について書かれた本です。去年紹介した「習慣の力」を読んだあとに、よい習慣を作るにはそもそも自己コントロールがうまくないといけないのではと思って読み始めました。
意志力とは具体的になんなのか、鍛えたり消費を抑えたりするにはどうしたらいいのかといったことが書かれています。全体的にエビデンスベースなので納得感は高いです。(少し前の本なので、最近信憑性が疑われているマシュマロ実験とか出てきてしまいますが)
衝動に負けやすいとか、やるべきことができてないという人におすすめです。
OKR
OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
- 作者: クリスティーナ・ウォドキー,及川卓也(解説),二木夢子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/03/15
- メディア: 単行本
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目標設定について少し見直してみたいと思ったので読みました。OKR(objectives and key results) について体系的に書かれた本です。
OKR のことはなんとなく目標設定手法だと思っていましたが、この本を読むことによって OKR の本質は継続的な向上と学習のサイクルを回すことだと思いました。目標設定自体が大事なのではなく、その目標を元に優先度を決めたり、チームで問題点や改善点についてコミュニケーションをとったりして、いかに日常業務をよりよい方向にしていくかという話が多かったです。
前半の物語形式の部分は正直いまいちなところがあります(いきなりスーパーエンジニアが登場してすべて解決してしまう)が、よい目標を立ててそれをうまく生かしたいという人にはいろいろ参考になるところがあると思います。
最高の体調
最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001)
- 作者: 鈴木祐
- 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
- 発売日: 2018/07/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらもうさんくさいタイトルですが、科学的エビデンスベースで健康について書かれた一冊です。
食事以外にも、自然との接触が多いとメリットが多いとか、人間関係とか、価値観の話とかいろいろな観点の話が含まれています。書かれていることをどこまで実践するかは読む人次第ですが、やはり知っているだけで普段の行動が変わる部分もあると思うので、とりあえず読んでおいて損はないかなと思います。
NETFLIX の最強人事戦略
- 作者: パティ・マッコード,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/08/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Netflix の人事戦略について書かれた本です。人事戦略に限らず、社内の文化、組織論的な部分についても書かれていて、Netflix の急成長の理由の一端を見ることができます。
ややストイックな印象を受けた部分もあるので組織や人によって合う合わないはありそうですが、納得できる部分も多い内容でした。
ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうの
- 作者: ピアーズ・スティール,池村千秋
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 4回
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タイトル通り、先延ばしについて科学的なアプローチで解説した一冊です。
先延ばしとはなにか、先延ばしにはどういうタイプがあるのか、先延ばしにどういう悪影響があるか、先延ばしを克服するためには、といった内容が書かれています。
自分も先延ばししがちなところがあるので読んでみましたが、エビデンスベースでかなり納得できる内容でした。先延ばしで悩んでる人は読む価値がある本だと思います。
Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計
Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計
- 作者: Robert C.Martin,角征典,高木正弘
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/07/27
- メディア: 単行本
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筆者の提唱するクリーンアーキテクチャに限らず、歴代の様々なアーキテクチャについて幅広い知見が詰まった一冊です。
変化に対応できるアーキテクチャについて書かれており、個人的にはもっと早く読んでおきたかった本でしたが、一方である程度現実のソフトウェア開発を経験しないと理解しづらい本でもあると思います。
ややパワーワードが多くて全面的に同意できる内容ではないですし、ところどころ冗長な部分もある本ですが、そのあたりを差し引いても読んでよかった一冊です。
〈効果的な利他主義〉宣言!――慈善活動への科学的アプローチ
〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ
- 作者: ウィリアム・マッカスキル,千葉敏生
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2018/11/02
- メディア: 単行本
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「どうすればできるかぎりのよいことができるか?」という疑問に答える一冊です。エビデンスベースで効果的な寄付活動や慈善活動を行うために、なにをしたらいいかというアプローチです。
自分は、国境なき医師団に定期的に寄付したり、震災が起きたら被災先に寄付したりしているのですが、一方でこれがどのような効果があるのかという漠然とした疑問がこれまでありました。しかし、この本を読むことによってより効果的な寄付をするにはどうしたらいいのかということが見えてきたので、読んでよかったです。
一方で、価値観の違いとかで人によっては受け入れづらい部分もある一冊だと思います。ですが、寄付とか慈善活動とかに興味がある人はぜひ読むべき本だと思います。
まとめ
今年も様々な分野のおもしろい本に出会えたかなと思います。
興味範囲が近い人のおすすめ本一覧とか見てみたいので、ぜひみなさま似たような記事を書いてみてください。
来年も引き続き読書する習慣を続けて、学んだことを人生に生かしていきたいです。